最近、
その土地の名産とか、
郷土料理とか、
ずいぶん覚えた。
いわゆる「試験勉強」。
うん十年ぶり。
同僚はすぐに覚える。
というか、多くをすでに知っている。
行ったことがあったり、
見たり食べたりした経験が多いのだ。
「こんなことも知らないの?」
「知るわけないじゃん」
「みんな知ってる!ジョーシキ!」
「うっそお」
半分オーバー、半分ほんと。
私も少しは世間の常識に近づけたかしら?
暗記だけではきつい。
百聞は一見にしかず。
ネットで写真とか見たりして。
同僚が電車の広告を見つけた。
「岐阜 大物産展」。
北海道とか福岡はよくあるけれど、
岐阜県は珍しい。
「春慶塗り(だったかな?)だってえ。見に行こうよ」
そうだね。机にかじりついてばかりよりいいかも。
ほんとは食べ物が目当て(笑)
デパートの最上階。
お決まりの催し物会場で。
エレベーターを降りる。
「すごいに人だねえ」
他の階には見られない、盛り上がり。
入り口付近に焼き物が並んでいる。
「お!本に載ってるやつじゃない?!」
走りよって札を見る。
二人でじーっ。
知ってる文字が見当たらない。
「ふつうの人が作ったなんでもないやつだあ」
同僚の言葉に顔を上げる。
と、気まずそうに立っている白髪の男性と目が合った。
「…なんか…、味が…、あるよね…」
小走りになりながら同僚が言う。
もう、遅いよ。
今日はワケギを植える。
ほんとは9月だったんだって。
「毎年忘れるの。まだマシ」
と母。
なんか、忘れることも一緒に引き継ぎそうだなあ。