2014年10月23日木曜日

私、電車じゃないんだけど


夜更かし型だった母が、
早寝早起きに挑戦中。
効果を実感しているようなので、
続くといいなあ。

「行ってきまあす」
「今日は遅いのか?」
ほとんど毎日、父が聞く。
「まあ、ふつうかな」
とか、
「ちょっとね」
とか、
予定は未定の答え方しかできないよ。
帰りたくてもそうはいかないことも多いので。

「行ってえきまあす」
「今日は遅いのか?」
「歯医者が終わったら帰る」
「今日は歯医者だ」
あら、母がいるんだ。
出かけるときに起きてるなんて、
初めてかも。

耳の悪い母は、
父が私と会話していると気づいていない。
だから父が歯医者に行くと思ったらしい。
「今日?何時?」
「歯子だよ。歯子が行くんだ!」
「ああ…、帰り?遅くなるの?」
「通常どおりの遅れだ!」
それって何時よ?
私急ぐから、行くね。

雨で2日間、畑に出ていない。
オクラ、大きくなり過ぎてないかな?
もう種いらないんだけどなあ。

2014年10月18日土曜日

日本語は難しい?


台風一過。
今回の準備はたいへんだった!
前々日は重り載せ。
水の張ってないバケツに大きな石を入れ、
ふたの付いたものにはブロックを載せ、
水が入ってはいけない肥料とかには覆いと重し。
はあ〜。重い。

前日は倒れそうな子たちの補強。
オクラ、ナス、パプリカ。
オクラは背丈以上に伸びていて、
最初の支柱をとっくに超えている。
パプリカとピーマンは、たくさん実を付けていて、
首が垂れ下がっていた。
そのままの形で支えにくくりつけてやらないと、
首を伸ばそうとするとポキッと折れてしまう。
狭いところで絡んでいたりするものだから、
そこら辺をまとめて縛った。
「みんなで助け合うのよ」とか言いながら。
ナスはいったん葉を落としてあるから、
少し支えを足して、これでよし!
台所の外に出している缶とかもろもろは頼み、
いつもより何本も遅い電車に向かって走る。
家の仕事っていろいろあるなあ。

その日の夜。
「だんだん雨が強くなってきたよお」
と帰ると、
「パパ、早くゴミ箱入れて」
「うー、ああ!」
え?!まだ入れてないの?
「朝から言ってるのに、入れないの!」
「???」
次回からは頼めそうもない。
もう、ふだんから台風対策しておくべし。

翌朝。
全部、無事。
意外なものが飛んでたけどね。

ずっと「台風一家」と思ってた。
(どんな家なんだ)

姉の「出光」よりはマシだけど。

「イデミツって読むんだねえ、
シュッコウだと思ってたあ」
いつだったか、ただ大人にはなっていた。
「え?デコウじゃないの?」
「音読みと訓読みは並べるんだよ。
デビカリなら分かるけど」

いや、分からんでしょ。

2014年10月11日土曜日

「ちょっと、気をつけてよ」ってあんたでしょ


最近、
その土地の名産とか、
郷土料理とか、
ずいぶん覚えた。
いわゆる「試験勉強」。
うん十年ぶり。
同僚はすぐに覚える。
というか、多くをすでに知っている。
行ったことがあったり、
見たり食べたりした経験が多いのだ。
「こんなことも知らないの?」
「知るわけないじゃん」
「みんな知ってる!ジョーシキ!」
「うっそお」
半分オーバー、半分ほんと。
私も少しは世間の常識に近づけたかしら?

暗記だけではきつい。
百聞は一見にしかず。
ネットで写真とか見たりして。
同僚が電車の広告を見つけた。
「岐阜 大物産展」。
北海道とか福岡はよくあるけれど、
岐阜県は珍しい。
「春慶塗り(だったかな?)だってえ。見に行こうよ」
そうだね。机にかじりついてばかりよりいいかも。
ほんとは食べ物が目当て(笑)

デパートの最上階。
お決まりの催し物会場で。
エレベーターを降りる。
「すごいに人だねえ」
他の階には見られない、盛り上がり。

入り口付近に焼き物が並んでいる。
「お!本に載ってるやつじゃない?!」
走りよって札を見る。
二人でじーっ。
知ってる文字が見当たらない。
「ふつうの人が作ったなんでもないやつだあ」
同僚の言葉に顔を上げる。
と、気まずそうに立っている白髪の男性と目が合った。
「…なんか…、味が…、あるよね…」
小走りになりながら同僚が言う。
もう、遅いよ。

今日はワケギを植える。
ほんとは9月だったんだって。
「毎年忘れるの。まだマシ」
と母。
なんか、忘れることも一緒に引き継ぎそうだなあ。

2014年10月8日水曜日

LEDにはおよびませんが


「へえええ!!すごいねええ!!」
母の大きな声。なんだろ?
「物理学だ!」
なぜか得意げな父。
もしかして、ノーベル賞?
「そお、3人もだって!!」
文学賞はねえ、もしかしたらってねえ、
へえ、あら、そお!
ちょうど夕食を始めるとき。
急いでテレビをつける。
おおう!ほんとうだ!
テレビと流し台の母を往復して同時中継しながら、
母の勘違いをただしておく。
「一つの研究に対して3人がもらったんだよ」
3つもらったんじゃないからね。

「赤崎さん、出たよ!」
母がやっと食卓につく。
「70代だね」
「そお?80いってるんじゃない?」
ほら、やっぱり。
「LEDに関係あるのかな?」
母の言葉にちょっとびっくり。
私もちょうど思ってたけど、
母に言っても分からないと思ってた。
「かもね。あの後、出てきたもんね」
やはりそうだ。
「立派な耳だね」
今度はいつも母が言うようなことを私が言う。
「ほんとだ。飛び出てるね」
「肉厚。松下幸之助みたい」
だんだん松下さんに見えてきた。

少し前に街灯が明るくなった。
「ああ、なんか電柱に登ってやってたよ」
と母。
切れてチカチカしていると、
「いつ、誰が取り替えてるのかな?」
といつも思っていた。
切れないやつに変えたんだろうな。
小さいのに、すごい明るさ。
ネットで見た。やはりLEDだ。
こんなふうにお世話になってるんだな。
それにしてもノーベル賞とは。

「トイレの電球、一回も変えたことないよ」
少し前に母が言った。
ふつうの電球だよ。
築うん十年も経つのに。
なんでこんなにもつんだろ?
お風呂場も、昨年代えたのが2回目じゃないかな?
脱衣のところはふつうに代えてる。
一番代えにくいのは、階段の真ん中につり下がってるやつ。
ここもよくもつ。
それが今年のなかばころ、ついに切れた。
どうやって代えるのかな?
「業者に頼んだほうがいいよ」
とは姉。
前に代えたときにたいへんだったらしい。
それもなんだかねえ。
どうしようかなあ?
なんとかできないかなあ?
父も使う階段。足元が危ない。
1ヶ月くらいたったころ。

「どくだみ、どうしてる?」
え?なんかカゴに積まれてるけど?
「早く干さないと、かびちゃう」
2階に運ばれると、母は見にいけない。
運んだのは父らしい。
またそのままにしたんだあ。
まったくもう。
梅雨どきに入っちゃったじゃん。
すごい量。
知り合いがきれいなのをくださるのだ。
梅雨の晴れ間、急いで干す準備をする。
ひもを渡したけど重みでたわむ。
長い竿にひっかけるしかないか。
一番長い竿を見つけて運ぶ。
階段を折り返したとき、
竿がつるした電球に当たった。
「ガチャっ」
おっと!割れたかと思った。

その日の夕方、
階段のスイッチをカチッ。
つかないのにまた入れちゃった…と思った瞬間、
「パッ」
え?
明かりがついた。
あら?ほんとに?
それならうれしいけど。
あれから数ヶ月。
いまだについている。

昨日は畑びより。
残ったゴーヤを抜いた。
チビゴーヤが10数本。
これでほんとに最後。
いい夏だった。

2014年10月5日日曜日

ちょっと目が悪いんです


電車の中が温かい。
特に最近、ますます思う。
人様の、心の温度だ。

帰りの電車はたいてい二人。
座席はポツポツ空いてるけれど、
二人並んだ席は…ない。
右見て、左見て、それぞれに座ろうか…、
と歩きだすと、気づいた人がすーっと。
ほんとに毎回。
おじさんだったり、若い人だったり、どなたでも。
向かい側に席を移ってくれる人もいる。
笑顔で「どうぞ」なんて言ってくださると、
しあわせな気持ちになる。
「やさしいねえ〜」
と言いながら、笑顔を返す。

先日は、混んでいた。
同僚が座り、私が前に立つ。
少しかがんで話の続き。
すると、中学生くらいの女の子がパッと席を立った。
電車が動き始めたので、大きくよろける。
足元のかばんもあって、おっとっと。
「大丈夫?」
「どうぞ」
よろけた気まずさもあってか、
恥ずかしそうに言うのがかわいらしい。
「え?いいですよ」
高齢者に見えたのかしら?まさかね。
と複雑な気持ちもよぎりつつ、遠慮する。
いえいえどうぞ…というように、首をふりながら、
かばんを引きずって離れて行く。
「やさしいねえ〜」
すぐ降りるのかもね。
うん、それなら分かる。

次の駅で一つ隣が空いた。
すると、その子がかばんを抱えて座った。
とたん…突っ伏して寝始めた。
「あんなに眠いのに、譲ってくれたんだあ」
「いい子だねえ〜」
こんな毎日だから、
私も親切を返すことが多くなる。

朝のラッシュに白杖の青年。
階段を降り、電車に乗る。
席に座るのまで見届けた。
降りようと席を立ったとき、
何かが落ちた。なんだろう?
とにかく急いで拾い、ドアぎわまで進んだ青年の肩をポンポン。
「落ちましたよ」
「あっ、ありがとうございます」
振り向いて、笑顔。
出した手に、にぎらせた、
ら…、おにぎりの包み!
コンビニの。
なんてこと!
ごめんねえ!
背中に向かって心で叫ぶ。
悪くとられないといいけどなあ。

今日は雨。
雨読といくか。

2014年10月1日水曜日

やっぱ柴でしょ


「今日ね、○吉がね…」
毎日、同僚から愛犬の話を聞くうちに、
すっかり柴犬が好きになってしまった。
それまでは、洋犬派。
ポメラニアンとか。
「柴のどこがいいんだろう?」
散歩していると、柴が圧倒的に多い。
いつも???だった。
子犬はかわいいよ。
でも大きくなると、きつねみたいじゃん。
私は飼わないなあ。
なんてずっと思っていたのに…。

中学に入ったころの夏。
「目つむって手出して」
こわごわ…、わっ!!!なに???
目をパッ!「鹿?!」
に見えた。
忘れもしない、我が家に子犬がきた日。
「絶対、犬は飼わないからね」
愛犬が死んだ悲しみを経験している母は、
常に子供たちに言っていた。
その母が…一目ぼれ。

「ねえ、犬子の目ってさあ、犬じゃないんだよね」
一番の「親ばか」ぶりを発揮したのは、私。
「犬飼ってる人ってさあ、
うちの○ちゃんが一番かわいい
って、みんな言うんだよねえ。
うちの犬子が一番かわいいのにね」
実はデレデレだったのは、姉。
柴とスピッツのあいの子。
色以外はスピッツだった。
決して賢くはなかったけど、
愛嬌があった。
「バカな子ほどかわいい」
と言っていたのは母。
もう飼えない。
犬子の代わりは絶対いない。

「ねえねえ、○君って、
顔の白い柴に似てない?」
以来、柴犬同僚は、
「おつかれさまあ」
と言ってすれ違う私の隣で、
「ワン…ワン…」
と小さく吠えたり、
「シバ…シバ…」
と小さくつぶやく。

昨日は畑日和。
おにぎりと卵焼きを作ってもらい、
母と畑でお昼した。
鈴なりのみかんの木の下。
色づいたみかんがデザート。
この時期に色づくのは、
出来損ない。
それもごちそう。
また、しようね。

2014年9月29日月曜日

あら、アイツのこと、言ってなかったっけ?


畑仕事の最初のミッションは、雑草取りだった。
玄関前の小さな花壇。
雑草に覆われていたなんて、
言われるまで気づかなかった!
抜いてはいけないものの間にうっそうと生えている。
根っこを辿って引っこ抜く。
手探りなのに、雑草だ!と分かるようになってくる。
ここらへんからハマったような気がするなあ。
根っこから抜ける快感!とか。

根っこをスポッと残す「やつ」がいる。
「そいつ」は化けるのがとてもウマい。
「私はゴーヤよ」という顔をして、
背丈以上に伸びていたこともある。
根っこの張り方もそんじょそこらの雑草とは違う。
横にも縦にも延々と伸びる。
根っこを追うのに10分はかかる。
やわらかくて、途中で切れてしまうこともしょっちゅう。
鼻歌まじりの雑草取りも、「そいつ」を見つけると、
ネズミと出会った猫のごとく、戦闘モードに切り替わる。

母もよく知る「そいつ」に、
「アイツ」という名を付けた。
汗だくになったり手のひらに水ぶくれができたりしながら、闘った。
朝取った、1メートル以上の戦利品を母に見せたくて、
庭先にびろ〜と伸ばしておいたことがある。
夜、「見た?」と聞くと、
「どれ?分からなかった」
「ええ?出たすぐのとこにあったでしょ?」
「見たんだけど…」
翌朝見たら、夏の日差しで干からびて、
細いごぼうくらいあった根が、ひげみたく様変わり。
ダメダメ、これじゃ迫力が伝わらない。
ぜひ、取り立てのを見ていただきたい!

「アイツがまたいてさあ」
秋になっても食卓の話題によくのぼる。
「アイツって誰だ?」
父が首を回して突然、口を開く。
「アイツって、ほら、草子が必死になってる雑草よ」
なんだ…と言わんばかりにまた、テレビに戻る。
少し前の私も、父のように庭仕事にはまったく興味がなかった。
スイッチってあるのかな?

「アイツ」に10分はもったいない。
最近は、どんなに小さな「アイツ」でも、
見つけたら、スコップを取りにいく。
「変身」を見破る目も肥えてきた。
駅までの公園の植木にも、
「アイツ」がたくさん絡みついている。
よく見ると、下のほうから道路に向かってきてもいる。
すごい勢い!
わあ、嫌だ!
通るときの私、目つき悪いかも、
公園に人がいるときは、気をつけよう。

雑草のない、きれいな畑は気持ちがいい。
でもそれも、雑草取りがあっての気持ち良さ。
「アイツ」の全滅を目指したけれど、
きっとそうなったらつまらない。

明日は一日、畑ができる。
雑草取りを心ゆくまで楽しもう!