今年、夢に向かって計画を立てた。
この歳になって…とも思うが、人生の半分を生きてこその行動なのだ。
十年後に、ヴァイオリンで、本格的なクラシックを演奏する。
きっかけは、3年半、レッスンを受けた先生が産休に入られたこと。
ネットで見つけた教材が、私の心を捉えた。
本気でうまくなりたいなら、基礎練習を積み重ねるしかない。
基礎さえ体得すれば、どんな曲でも弾ける。
退屈な練習を、どこまで継続できるかにかかっている。
とあった。
自分に才能があるとは思わない。
しかし、練習だけはどんな退屈なものでも続けられる自信はあった。
一日30分の練習で、どこまでできるかは分からない。
しかし、始めないことには絶対にかなわない。
基礎練習に専念したいと、新しい先生に訴えてみた。
先生はびっくりしていたが、駄目とは言わなかった。
クリアすべき教本が具体的に見えてきたので、自分で計画を立ててみた。
少し無理はあるかもしれないが、希望も込めて、十年…とした。
過ぎた3年半を思えば、そんなに長いとは思わない。
実際に練習を始めてみると、これが楽しい。
曲を弾いているときは、同じところでつかえて一向に改善しなかった。
基礎練習だと、同じことを繰り返していると、段々と弾けるようになるのだ。
この、目に見える成果がうれしくて仕方ない。
単調な練習でも、続けられるゆえんである。
十年後は、人生の終盤にさしかかるころ。
定年まであと数年という時期である。
クラシックが弾けたから、それで暮らせるとは、これも思わない。
それでも何か、別の世界が広がるのではないか、
それが私の人生を、より豊かにしてくれるのではないか、
と夢見るのである。
86歳になる母は、そんな私の夢を唯一、応援してくれる存在だ。
めでたい親子だなとも思う。
母は、毎日、ハーモニカとウクレレを熱心に練習している。
そんなところが母に似たのかな。
少しバカでないと、夢って見られないのかもしれないね。