2014年10月5日日曜日

ちょっと目が悪いんです


電車の中が温かい。
特に最近、ますます思う。
人様の、心の温度だ。

帰りの電車はたいてい二人。
座席はポツポツ空いてるけれど、
二人並んだ席は…ない。
右見て、左見て、それぞれに座ろうか…、
と歩きだすと、気づいた人がすーっと。
ほんとに毎回。
おじさんだったり、若い人だったり、どなたでも。
向かい側に席を移ってくれる人もいる。
笑顔で「どうぞ」なんて言ってくださると、
しあわせな気持ちになる。
「やさしいねえ〜」
と言いながら、笑顔を返す。

先日は、混んでいた。
同僚が座り、私が前に立つ。
少しかがんで話の続き。
すると、中学生くらいの女の子がパッと席を立った。
電車が動き始めたので、大きくよろける。
足元のかばんもあって、おっとっと。
「大丈夫?」
「どうぞ」
よろけた気まずさもあってか、
恥ずかしそうに言うのがかわいらしい。
「え?いいですよ」
高齢者に見えたのかしら?まさかね。
と複雑な気持ちもよぎりつつ、遠慮する。
いえいえどうぞ…というように、首をふりながら、
かばんを引きずって離れて行く。
「やさしいねえ〜」
すぐ降りるのかもね。
うん、それなら分かる。

次の駅で一つ隣が空いた。
すると、その子がかばんを抱えて座った。
とたん…突っ伏して寝始めた。
「あんなに眠いのに、譲ってくれたんだあ」
「いい子だねえ〜」
こんな毎日だから、
私も親切を返すことが多くなる。

朝のラッシュに白杖の青年。
階段を降り、電車に乗る。
席に座るのまで見届けた。
降りようと席を立ったとき、
何かが落ちた。なんだろう?
とにかく急いで拾い、ドアぎわまで進んだ青年の肩をポンポン。
「落ちましたよ」
「あっ、ありがとうございます」
振り向いて、笑顔。
出した手に、にぎらせた、
ら…、おにぎりの包み!
コンビニの。
なんてこと!
ごめんねえ!
背中に向かって心で叫ぶ。
悪くとられないといいけどなあ。

今日は雨。
雨読といくか。